趣味は読書です

今でも日本の純文学が一番好きだ。
圧倒的な文章力。そして何より美しい。
短編でも長編でもしっかりと一つの事を表す鋭さを持っている。
その中でも、無頼派が好きで、太宰治坂口安吾を好んで読んだ。
高校生の頃、初めて太宰を読んで、どの作品を読んだかは覚えていないが、
そこからしばらく太宰を読み漁っていた。
なぜそこまでのめり込んだかは実は良く分からなかったが、
その時の自分と重ね合わせるのに十分だった。
彼の容姿も好きだった。数枚の写真しか見たことないが、一見、美男だが
なんだか間の抜けたような感じにも見える顔が好きだった。
華奢な体に着流し姿が好きだった。

暗い話、と捉えられがちだけど、全体にわたる喜劇感。
ともするとキザだが、それを嫌い道化に徹した、でも徹しきれない
そんな精神が魅力だった。
おもわず、ブッと吹きだしたりしちゃうくらいダメなところが好きだった。
いつも死にたいくせに、いつも生きているところが好きだった。
そして、文章の随所随所にとてつもなく鋭く強いものを残していて、
それを読むたび、暗唱したいくらいだった。


最近、あることがきっかけでまた太宰を読んでいるんだけど、
本当に感動する。
あの時読んだ時と全く変わらない衝撃だ。
胡散臭さを嫌い、偽善を嫌い、自分というものをいつでも愛し、卑下している。
高校生の頃より少し冷静に文章を読めるようになっていて何が好きか考えていた。
確かな文章。人間の心理の観察力。センチメンタルで熱い。
私の事を書いて、世の中の常、普遍的なものを現せて初めて成る、
私小説というものがちゃんとそこにある。
美しいなー


ちょっと前に、坂口の夜長姫と耳男も読み返したけど、
これも本当に素晴らしかった。
臭い立つほどの描写力。物語としての強い美しさ。

漱石も好きだ。

でもやっぱり、太宰の滑稽さが好きだなー