3フリッパーのスペースシップ

「誰もがめいっぱいのトラブルを抱えこんでいるようだった。トラブルは雨のように空から降ってきたし、僕たちは夢中になってそれらを拾い集めてポケットに詰めこんだりもしていた。何故そんなことをしたのか今でもわからない。何か別のものと間違えていたのだろう。」


「週の半ばに鼠はウィスキーを一人で飲みながら、全ての思考をしばらく凍結させることに決めた。意識のすきまのひとつひとつに白熊でも歩いてわたれそうなほどの厚い氷をはりめぐらし、これで週の後半を乗り切れるだろうという見通しをつけて眠った。しかし目が覚めた時には何もかもがもとどおりだった。頭が少し痛んだだけだ。」


「僕たちが共有しているものは、ずっと昔に死んでしまった時間の断片にすぎなかった。それでもその暖かい想いの幾らかは、古い光のように僕の心の中を今も彷徨いつづけた。そして死が僕を捉え、再び無の坩堝に放り込むまでの束の間の時を、僕はその光とともに歩むだろう。」