どこにいても、春

寝室と風呂場と玄関の窓を開けて、
ヒーターをしまって、
もこもこのブーツをかたして、
もこもこのコートとダウンのコートとダッフルコートを
クリーニングいきの袋にまとめて、
あったかい敷き布団パットをはずして
シーツと掛け布団カバーと一緒に洗濯機へ、
ベッドカバーの寝袋をほして、
洗濯機をあと二回まわして、
掃除機をかけて、
床を水拭きして、
どうやら、春がきた。

芽吹く葉々
芽吹く花々

風が吹いているのに寒くない。
あおられる髪が、早く切ってよとつげる。

今年初めての菜の花をからし和えにする。
苦い。うまい。
一人で食べるのはもったいないな。
なんて思ったり、します。


周りが騒がしく動いている。
がんばって欲しい。
前に住んでいた家のお向かいのおばあちゃんがこんなことを言っていた。
「どこにいても、お元気で」


体を大事に、どこにいても、元気で。
そしてまた近く会いましょう。
ちいさいニューフェイスを楽しみにしています。


そして私は口に出してみるんだ。
違うんだって。私には違うんだって。
自らは発した言葉を自分の耳で聞く。
そうしてそれを本当のことにする。
そうして始める。
随分と時間がかかる。
よく考えてみれば、そうやって生きてきた。
そうやって生きている。











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